誘拐犯!?優也の捨て身の解決案

39/74
前へ
/611ページ
次へ
そんな疑問が顔に出ていたのか、優希はため息をつきながらポツリポツリと呟き始める。 「結局のところまだ千佳は優しすぎるんだ。もしも今のまま千佳が生徒会長になれば、学園の山積みになっている問題を全部片付けようとするに決まっている」 そこで優也はようやく最後の教えの内容が分かり、関心したように優希の話の続きに聞き入った。 「長というのは中々に厳しいものだ。もちろん問題を解決するために粉骨砕身するのは見事な心構えだと私も思っている。だが……現実はそう上手くはいかない仕組みになっている」 要は千佳の優しさは長という役の中では自分を苦しめる原因になってしまうのだろう。 細かな問題から大きな問題まで様々なものがあると思うけど、それを全部解決するなんて事は優しさだけではどうにもならない。 「つまりは私が教えたいのは時には切り捨てるという事の大切さを知ってほしいだけだ」 「なるほど……でもちょっと質問なんですけど、そうすると俺はそれを教えるために切り捨てられたって事なんですかね?」 自分で打ち出した案なので何の文句もないのだが、会長に捨てられたというのはどうにも後味が悪い……。 そう優也は少し不安になったが、優希はクスクスと笑いながら優也を見据えた。
/611ページ

最初のコメントを投稿しよう!

7683人が本棚に入れています
本棚に追加