誘拐犯!?優也の捨て身の解決案

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だからこそ優也は激しく狼狽し、今もまっすぐな視線を送る詩帆に目を合わせることができないでいた。 「どうしてって言われても……私が今日言わないときっと後悔するかもしれないって思ったから」 そんな直感的な理由を聞き更に優也は混乱してきたが、詩帆は迫るように優也の前まで歩み寄る。 「それで……優くんからのお返事は?」 そう言われた瞬間に俺の側まで来ている詩帆さんからとても甘い匂いが鼻をくすぐる。 ここで詩帆さんが冗談だと笑い飛ばしてくれればきっと明日からはまた今まで通りの関係に戻れるはず。 なのに……詩帆さんは淡い期待を抱くかのような上目遣いで俺の言葉を黙って待っている。 本当はいつかこんな日が来ることなんて分かりきっていたはずなのに。 人は物心が付けば無意識に異性を気にして、いつの間にか目で追うようになり、そして……その日々を繰り返すうちに自然と恋に落ちてゆく。 だからきっと俺だって誰かに恋して、こんな場面にだって縁があるかもしれないと心のどこかでは分かっていた。 でも……こうして自分に好意を持たれるというのがここまで気持ちを掻き乱されるとは想像もしていなかった。 それが昔からの幼馴染みからとなれば尚更……。
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