誘拐犯!?優也の捨て身の解決案

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大地にそう言われた優也もそれもそうかと少し納得してしまい、再度頭を下げる。 そんなやり取りをしているうちに朝のHRが終わり、次の授業のために移動している最中に出来事は起きた。 教室まで間近に迫ったとき、優也のポケットに入っているマナーモード中の携帯が震え、慌てて廊下の角に隠れて応答に出る。 「もしもし!?」 「優也様!すみません。どうやら思ったよりも早くお二方が帰ってくるそうなので、大至急ボブをそちらに向かわせます」 カーターが珍しく取り乱しているのと同じく、優也も壁に付いた時計を見ながら焦りの表情に変わる。 朝早く来るかもしれないというのはもちろん可能性として考えていたけど、実際は心のどこかでもう少し遅くなると思っていた。 しかし2人の両親はもう少しで家に着いてしまうという。 それだけに早く自分たちの娘たちに会いたかったのか、あるいは……急いで今日という日を終わらせたいのか。 前者であることを祈ってはいるが、まだ両親と話していないだけになんとも言えないのが現状だ。 とにかく今はボブが来るのを正門で待たなければいけないため、必然的に授業を抜け出すという事になる。 俺は近くにいた大地にアイコンタクトで行ってくると告げると、向こうも親指を立てて行ってこいと優也に無言で伝えた。 そして優也は急いで教室に帰り昨日整えた荷物を背負い、極力誰にも見られないように外へと出た。 カーターからの情報で和羽も関羽も今日は学園を休んでいるというので、両親は必ず一度家に行くはずだ。
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