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少し熱くなってしまっているが、優也の意見は間違ってはいない……本人もそれは分かっていたが……。
「よくもそんな事が言えますね……こうなったのはあなた方が描いた絵だと言うのに」
母親の態度は更に冷たくなり、そのままもう話す事はないと言いながら家へと戻ってしまった。
残された優也はまったく予想外の反応に困惑していたが、徐々に冷静さを取り戻してゆく。
取り合ってもらえないのは予想してたけど、ここまで一方的に怒りを向けられるとは思ってなかったな。
しかもその怒りはどうやら俺だけに向けられた感情ではないのも変な話だ。
優也は静かに一連の流れを思い返しながらある推測を1つ立てる。
「もしかしたら……この問題は俺が考えている以上に何か大きな力が働いてるのかもしれない」
そうでなければただの高校生にあんな温和そうな人が激昂するはずがないだろうし、あなた方が描いた絵という発言も説明がつく。
そして優也がもっとも重要だと考えるのは……。
「今日中に必ず俺以外の人物たちがここに来るはず……恐らくその人たちがこの問題を引き起こした張本人の可能性が高い」
それが分かった瞬間に得体の知れない恐怖が襲ってきたが、ふと気になる事が浮かび上がる。
もしかしたら……こうなる事を伊集院さんは最初から予想していたんじゃないだろうか?
偶然に俺たちは出会い、偶然に俺たちは伊集院さんと敵対して……その偶然が重なってこうして俺は今ここにいる。
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