誘拐犯!?優也の捨て身の解決案

58/74
前へ
/611ページ
次へ
その男たちの物々しい雰囲気に飲まれそうになるが、優也はジッとその行く末を見つめる。 あの人たちが和羽たちのお母さんが言ってた人たちなのか? もしそうだとすると、とてつもなく嫌な予感がする。 どう見ても話し合いで折りがつきそうにないし、ましてやあの人数相手に俺が単身で行ったところで何か出来るはずもない。 優也は念のためボブに連絡をとり、いつでも行動に移せるようにと最終確認をしてから再び家の方へと視線を向ける。 しかし優也が電話をしている一瞬のうちに事態は変わっており、1人の男が和羽と関羽の両親と何か深刻な話をしている最中であった。 2人の父親もまだ若々しく体つきもしっかりしているのだが表情だけはどこか疲れている様子で、今もスーツの男に頭を下げているだけである。 どうしてこうも一方的に上下関係が成立しているんだろうか。それにそもそもあの男たちは一体……。 疑問と不安が増えるなか、遂に優也が待っている間に恐れていた事態が現実のものとなる。 それはスーツの男たちの代表格らしき男が無言で指示を促した時で、数人の男たちが両親の間をすり抜け家へと入っていくのが見えた。 その瞬間に母親は必死に代表格の男へ頭を下げるが、男は蔑んだ眼差しで2人を見下し……軽く手を振り落とした。 それを見ていた優也はやっと自分の立ち向かうべき敵が分かり、握っていた手を更に強く握る。
/611ページ

最初のコメントを投稿しよう!

7683人が本棚に入れています
本棚に追加