誘拐犯!?優也の捨て身の解決案

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その行動はあまりにも一瞬で、男たちは恐らく数秒後にはこう言い訳をしているであろう。 全て……予想していなかったと。 誰が今日この時間に2人を送り届けると知っているかまでは把握していなかっただけに、まさか……目の前でそのターゲットを誘拐されるとは夢にも思ってはいなかった。 そんな事を当の本人は気にしている暇もなく、優也は2人の手を握るとすぐさま駆け出し住宅街の角へと姿を消した。 「ど、どういう事だこれは!?」 残された男たちは代表格の叫びで我に返り、事態を一番掴んでいそうな久遠夫婦へと視線を移したが……玄関の前にはもう誰もいなかった。 この優也の作戦は確かに欠陥だらけであったのかもしれないが、それを補うのが大人の使命であり役割だ。 そしてそれを十分に果たせる人物がカーターであり、優也の行動に拍手喝采を浴びせたい気持ちを抑えながら両親と共に家の裏口から外へと出ていた。 「カーター!これはいったいどういう事なんです!?2人が今……」 「それについては順を追って説明しますので、今は逃げることだけに全力を尽くしてください。こちらに車があるのでどうぞ」 まったく理解できない両親であったが、それは2人を迎えに来た男たちも同じである。 「くそっ!どういうつもりか知らんがターゲットを拐った奴を必ず捕まえて俺の前に差し出せ!そうしなければ……」 それ以上は言わなくても男たちには伝わったらしく、次々に止めてあった車に乗り込んだ。
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