誘拐犯!?優也の捨て身の解決案

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しかしその誘拐犯である優也はすでにボブの乗ってきたバンに乗り込んでおり、男たちが見つけるのは困難を極める事となる。 だが優也の方もこれからどうすればいいかを考えなくてはいけないため、状況が有利になったとは言い切れないでいた。 そんな中まず口を開いたのは和羽で、いつもなら暴れてもおかしくはないが訝しげな表情で優也とボブを睨んだ。 「お前ら誰だよ。言っておくけど私たちを拐ったところで何にも……」 そこまで言ったところで和羽は両親の事を思い出したのか、何もかもを諦めたようにため息をついた。 というか……。 「なんでボブもお面なんかしてるんだよ!?」 重苦しい空気が漂うかのように見えた車内だったが、優也の疑問にボブはあっけらかんとして笑いながら答える。 「ハハハッ!マズハキモチカラダロ!」 「そりゃあ大切かもしれないけど!でもその可愛らしい女の子のお面はさすがにないだろ……」 マッチョな黒人がキラキラしてる女の子のキャラクターがプリントされたお面を着けてるとか……なんかもう夢に出てくるよね、これ。 そんなやり取りに和羽と関羽はポカンと口を開けて見ていたが、その表情には生気が戻りかけていた。 「えっ、あっ……ええっ?」 関羽も犯人の声を聞いてかなり驚いている様子だったが、理解が追い付いていないのか言葉が詰まっている。
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