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もしこうなる事が想定されていたんだとしたら……やっぱりあの人は……伊集院小春さんは頭が切れるなんてものじゃない。
優也は小春ほど何を考えているか分からない人はいないといつも思っていたが、どうやら少しずつ小春の事がわかってきたような気がする。
「やっぱりあの人は嘘が上手だな……」
今回ばかりは本当に騙されてしまったが、これでようやくこの問題の糸口が掴めたのかもしれない。
優也はゆっくりと深呼吸すると、辺りを警戒しながら運転するボブにこう伝えた。
「もう逃げるのは止めて、わざとあの人たちに見つかってもらえるか?」
「ハァ!?ナニヲイッテンダ!ミツカッタラコッチハスグニ……」
さすがのボブも優也の発言に驚いたが、何か起死回生のものを抱く優也の瞳を見て言葉を止めた。
「大丈夫……この2人は絶対に無事に両親の元に帰して、それで明日には元通りの生活に戻してみせるから」
そう言いながら笑う優也にボブは少し目を見開きながら驚いたが、すぐにハンドルを強く握った。
「ハハッ!ヤッパユウヤハヒトノウエニタツサイノウガアルナ!」
この少年のどこにこんな人を安心させる力があるのか不思議だったが、ボブはそれに乗っても間違いではないと直感で感じた。
そしてそれから数分後、優也たちの乗る車はお目当ての人物たちに見つかり、あっという間に周りに囲まれる状況となった。
「ゆ、ゆうやぁ……本当に大丈夫なのか?」
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