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和羽は不安そうに優也の服を掴んだが、それでも優也の表情に曇りはない。
「大丈夫……もうすぐでお父さんとお母さんの所に帰れるはずだから」
そう優也は宥めるように言ったが、関羽は自信が無さそうに肩をすくめる。
「で、でも……2人は私たちが邪魔であの人たちに渡そうとしたんですよね?だったら私たちは優也さんの……」
「それについても心配ないよ。これが終わればきっと2人のお父さんとお母さんがどれだけ自分たちの娘を溺愛していたかが分かるから」
それを聞いて和羽も関羽もポカンと口を開けたが、それを聞かせてあげるにはまず目の前の敵を乗り越えなければならない。
そんな話している間に優也たちの車は誘導されながら街の外れにある大きな石灰工場へと到着していた。
どうやら休みなのか作業員の姿が1人も見当たらず、向こうもそれは知っているからこそここを選んだのだろう。
そしてようやく捕まえた俺たちの前に現れたのは先ほど家の前にいた男で、その表情は明らかに怒っていた。
「まったく。ただのガキかと思っていたが共犯者がいたとは……つくづく気に入らない」
こういう場合普通なら犯人に説得を試みるとかそういう事をしてくるのかと思っていたが、向こうは最初から話だけで終わらせる気はないらしい。
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