誘拐犯!?優也の捨て身の解決案

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しかし男はそんな嘘に誰が騙されるものかと内心で優也を嘲笑ったが、それを聞いていた別の男が悲鳴にも似た声で優也を指差した。 「お、思い出した!どこかで見た顔だと思ってたけど……確かにこいつは小春様が婚約者と紹介してた奴だ!」 「何を馬鹿な!こんな取り柄の無さそうな男が小春様の婚約者なはずがないだろうが!恥を知れ!」 「し、しかし……ここにいる我々、瀬良さんを除く全員はあのパーティー会場で見ていたんですよ!?」 なにやら内輪揉めが始まり、いっそのこと俺の事は忘れてくれないかと願っていたが、瀬良と呼ばれたあの男が再びこちらを向いた。 「万が一にもあり得ないが、もしお前が小春様の婚約者だと戯れ言を言うのなら証拠を見せろ!」 どうやら俺の言った事は信じていないようだが、部下の証言で全てを否定出来なくなったのも事実。 だが俺は伊集院さんの大切な物を預かっているわけでも、秘密を知っているわけでもない。 なのでその伊集院さん本人の口からこの人たちに説明してもらうしかない。 かなり不利な賭けではあったが証拠と呼べるものはこれしかないため、俺は携帯を取り出し今も真面目に授業を受けているであろう伊集院さんの番号へと掛けた。
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