誘拐犯!?優也の捨て身の解決案

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コールが1つ2つと増えていくうちに優也の緊張も増していき、10秒程が経ちこのまま出てくれないかと思った時であった。 「遅くなって申し訳ありませんの。ですがこんな時間に優也様から電話が掛かってくるなんて予想していませんでしたの……」 電話のボタンを切ろうとした寸前に小春の声が優也に届き、一瞬自分の置かれた状況を忘れて天高く拳を上げてしまいそうになってしまった。 「本当にいじゅ……小春さんですよね?留守番電話とかじゃないですよね?」 更にいつも通り名字で呼んでしまいそうになったがギリギリで下の名前で呼び、優也はどうにか冷静さを戻す。 「え、えぇ。わたくしで間違えはないのですが、急にどうして、その……下の名前で呼んだのでしょう?」 いつもと違う態度の優也に小春も何が何だか分からない様子だったが、もし考える点があるとするなら……。 「他意はありませんよ。ただ今日は小春さんに例の返答を言わなくていけなかったので、ついでに電話しました」 その答えに小春は少し嬉しくなってしまったが、まだ肝心の返答が聞かされていないため声には出さない。 「それにしても……わたくしなりに考えた究極の選択がついでになってしまうとは……ふふっ。やはり優也様はあの五箇が認めただけはありますの」
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