誘拐犯!?優也の捨て身の解決案

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2人の両親の話を聞かされて初めて知ったが、この問題には離婚などという話は一切存在しなかった。 事の始まりは2人の両親が経営する会社がここ最近不景気だったのが問題だったらしく、そこに資金援助をしてくれたのが伊集院グループだったという。 最初は両親も見返りの期待出来ない自分たちの会社に援助する理由が分からず、恐らくは最終的に伊集院グループに吸収されるものだと思っていたらしい。 もちろんそれで職を失わず社員も路頭に迷わせずに済むならそれでいいと2人は話し合いで決まっていたそうだったが、伊集院グループが見返りとして持ち掛けた話はそうではなかった。 伊集院グループの持ち掛けた話は2人の娘たち……つまりは和羽と関羽であった。 その予想外の見返りに両親は焦り、反発したが、まだその話には続きがある。 話を聞いていくうちに和羽と関羽が養子に取られるというまではいかないことを知らされ、中等部卒業までの間、伊集院グループで面倒を見たいという条件だったそうだ。 結局自分たちの会社も吸収されず、娘たちも今よりもいい環境で過ごせる……という悪魔の甘い誘惑に乗ってしまったのは今日の事を見れば分かる。 そして両親たちにも夢があり、その夢が2人の大切な幼少期を削る代わりに中等部卒業から仕事を辞め、後の人生を全て愛する娘たちの為に捧げるという夢があったそうだ。
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