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その亀裂と言うのが身勝手な大人達の事情というものであり、後にそれは小春の居場所と家族を全て奪っていくこととなった。
その理由だが、小春のいた養護施設はそもそも国に正式に申請した場所ではなく、国からの援助もなければ実の父や母を捜すという事もしない。
そこの養護施設のある目的はたった1つだけ……。
ただ富豪の気紛れに作られた施設であり、そこにいる子供たちは全員……良い買い取り手がいれば売り物にされる、人身売買が平気で行われる闇の市場。
そんな場所に自分が居るなんて事は小春が知るはずもなく、ある日を境に周りにいた仲間たちが次々に居なくなる事となる。
というよりは小春が周りの皆よりも早く物心が付いてしまった為に、今まで気付かなかった子供達の減りに気付いたのだった。
その施設にいる子供達は本来物心が付く前に買い取られ、物心付く頃にはもうその買い取り手を実の育て親だと信じ込む。
しかし小春は常人よりも早く物心が付き、同時に本能とも呼べるべき才能で自分があたかもまだ物心が付いていないように振る舞った。
そんな才能のおかげである日小春はとうとう1つの答えを知る。
それはその施設を経営しているのが……伊集院十蔵であるという事を。
十蔵が施設に訪れる理由は2つで、買い取り手に品定めをさせるために来させる時と売買の済んだ子供を連れていく時の2つだけ。
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