決戦!未来の学園に必要なもの。

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この男のせいで仲間は次々に居なくなり、自分もそのうち同じように知らない赤の他人に連れていかれるものだとばかり思っていた。 しかし……。 いつになっても小春の買い取り手は現れず、その理由は小春が生まれつき体が弱いという事が要因だった。 高い金を払って病弱な子供を引き取るなら元気のある子供の方が良い。 そんな将来まで見通して金を払う人間達に吐き気を覚えるが、小春はそれが功を奏したと言えるのか、買い取り手は全ての元凶である十蔵の元になった。 だがそれは苦悩の人生の幕開けでもあり、小春の人生を賭けた闘いの始まりでもあった。 それは海外ではよくある話で、幼い頃から教え方1つでその子供が恐ろしい成長をしてしまうというのを……十蔵は知っており、それを行うのを小春を連れてきた日から決めていた。 そして十蔵の育て方は厳しく、恐らく普通の精神を持った子供なら既に心はボロボロになり、十蔵の言うことを聞けば全て大丈夫だという暗示を自分に掛けていただろう。 だが……。 小春の心は最後まで折れる事はなく、表面上では十蔵の作り上げた至極の人形というのを見事に演じていた。 全ては自分の家族を奪った十蔵にいつか必ず一矢報いる為に……その為だけに伊集院小春という女性は人生の全てを費やしていた。
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