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その話を電話越しだが最後まで聞いた優也はようやく小春の考えが分かり、これからの事も大体の想像がついた。
そして今までの小春の行いが全て自分たちを試すものだとようやく気付き、一気に体の底から脱力する。
伊集院さんは敵なんかじゃないとは思ってたけど……まさかここまで俺たちを試してたなんて。
信用されていないという悲しさ半分、伊集院さんの慎重さに脱帽半分と言ったところだが、まだ目の前の問題が解決した訳ではない。
10分程の電話だったがその間にも瀬良の怒りは高まり続け、今にも怒声を響かせながらこちらに殴りかかって来そうな雰囲気だ。
「えっと……じゃあ詳しい話はまたするんで、今はこの瀬良さんって人をどうにか説得してほしいんですけど」
「ふふっ。優也様も面倒くさい人に出会ってしまったものですね。ですが任せて下さい。もうわたくしの決意は固まりましたの」
小春はそれだけ告げると電話を瀬良に渡すよう伝え、それからの決着は一瞬で着くこととなる。
「瀬良……今すぐそちらにいる優也様とその周りにいる関係者を学園に連れて来てほしいんですが……もちろん手荒な真似はしてませんよね?」
瀬良はこの声と命令の内容を聞き、これは夢なんじゃないかと本気で自分を疑うほどであった。
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