決戦!未来の学園に必要なもの。

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しかし小春に今から許しを得て助かったとしても……果たしてこの目の前にいる男は黙ってそれを見ていてくれるのか。 もうすでに優也に対して無礼な態度や失言を重ねている瀬良にとって、むしろそこが最大の山であった。 「くっ……すみません小春様。優也様も今までのご無礼本当にお詫び申し上げます。この瀬良、一生の不覚でした」 そう謝罪し、瀬良は深々と頭を垂らしたが……腹の中で煮えくり返る怒りに自我を失いそうになる。 今の地位を築くために自分の手をとことん汚し、大切なものを全て捨てたと言うのに、この少年はたった十数年ばかりの人生でそれを越えるほどの地位を手にいれている。 それは瀬良からすれば面白くない事この上ないが、この先瀬良は絶対に気付く事は出来ないだろう。 優也が今ここに立てているのは、自らを犠牲にしてまで大切なものを全て守ろうとしている……優しさの賜物だと言う事に。 そして無意識にそれを行動に起こしている優也は瀬良の謝罪を黙って見送り、小春からの許しも得ることが出来た。 それから間もなく小春の命令通りに瀬良は動き、優也は誘拐犯から一転して超VIP待遇の車内で学園に戻ることとなった。 和羽も関羽も何がなんだか分からない表情で俺を見上げていたが、実のところ俺も今の状況が奇跡だとしか言いようがない。
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