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ちなみにその視線を受ける理由が分かっていない優也はどうして香奈がここまで怒っているかが理解できないでいた。
そんな態度に香奈の機嫌は益々悪くなり、絶対零度の声色のまま優也のポケットを指差し呟く。
「どうやらあなたの携帯の機能は停止しているらしいですね……へし折っていいですか?」
その瞬間に優也はハッと気付き、慌ててポケットから携帯を取り出して画面を確認した。
すると画面には50件近い着信が掛かってきており、ズラリと並んだ名前には全て香奈の名前が映っている。
そ、そういえば昨日の夜に気付いて掛け直そうとしたのはいいけど……結局睡魔に負けて寝てたのをすっかり忘れていた。
しかも一度確認したという事は画面の履歴からも消えている訳で、そう考えるとこれは今日の着信という事になる。
「正確には84回……これだけの電話を掛けても出ないというのはあれですか?新手の精神崩壊を狙った無視ですか?」
「ち、違う!これには深い理由があるから今から会って話そうとしてたところなんだよ!だから断じてそんな精神的な攻撃を狙ったものじゃないから!」
これはどう見ても自分に責任があるので優也は多くの生徒が見ているという状況も忘れてただただ香奈に頭を下げた。
「本当に申し訳ない!今回も勝手に行ったのは俺が全部悪い……だけど、こうして2人もその両親も無事だった訳だし……」
「無事だから何ですか?いくら終わりよければ全て良しということわざがあったとしても……私はあなたが心配なんですよ。なのに……どうしてそれが分かってもらえないんですか」
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