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「いいえ、あなたはこれくらい言わないと分かりませんからね。というよりまだ私がこんなに馬鹿を連呼した理由が分かってないんじゃないですか?」
香奈はふふん。と冗談混じりに最後にこう付け足したが、優也は苦笑いのまま明後日の方向を眺めていた。
「ほ、本物ですね……」
ここまでくると鈍感やお人好しというレベルでは収まり切りそうにない優也の疎さに香奈は呆れを越えて真からの驚きになっていた。
そしてこのままでは先に進むものも進まないと判断した香奈はスイッチを切り替え、自分が思っていたことを伝える。
「つまり私が言いたいのは今まで伊集院さんにやられてきた事が冗談なんかでは済まされないものばかりだと言いたいんですよ」
香奈の言葉でこれまで小春が関わってきたであろう問題が次々と優也の頭の中で甦る。
伊集院さんが関わっていた問題に首を突っ込んだ最初の出来事は、多分生徒総会で五箇先輩が提案した生徒会解散の時だろう。
その時は舞の過去を人質代わりとして使われ、危うく解散の一歩手前まで追いやられたのは紛れもない事だ。
それは決して許される行為ではなかったし、何か他の理由があったにしてもかなり強引な部分が目立った。
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