決戦!未来の学園に必要なもの。

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人形……その発言にやはり小春にとって五箇は人形のような存在だったのかと皆は思ってしまったが……。 「ですが五箇はわたくしがお祖父様に一矢報いたいという気持ちがあるのを知っていた……唯一友達と呼べる方でしたの」 初めて小春の見せた心からの悲しげな表情に優也はようやく小春の人間らしさを見ることが出来た気がした。 そしてそれは他のみんなにも伝わったようで、表情が少し柔らかくなったのは気のせいではないだろう。 「だが分からんな……五箇はお前の友であったならなぜ自主退学させた。忠実であるならそれを止める事も可能であっただろうに」 「それは無理ですの。あの人は表ではわたくしに忠実な人形でしたが……裏では意外と頑固でしたから」 思い返すように呟いた小春の表情は微笑みながらもその瞳にはうっすらと涙が浮かんでおり、本当に仲が良かったんだと窺える。 「あの人が自主退学したのはわたくしの為でしたの。生徒会を解散させた事がお祖父様の耳に入れば疑われるのは確実にわたくしか五箇のどちらかになる。だから五箇はその責任の全てを1人で負ってくれました」 「伊集院さんはそこまでして今の生徒会の人たちを守りたかったんですよね?会長が十蔵さんの邪魔になるかもしれないという不確かな理由で……」 それは優也の思っていた小春の性格を試すような意地の悪い質問だったが、小春はそれに対し首を横に振った。 「優也様は少し誤解をしていますの。わたくしが生徒会を解散させたかったのはその理由だけではありませんの。わたくしが生徒会を解散させてまで残したかったのは……あなた方が学園の未来に必要な存在だと分かっていたからですの」
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