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そう小春が意味深に間を空けると、優しい微笑みで優也にこう付け加えた。
「五箇はたしかに生徒会解散には失敗しましたが、あの人は最後に言っていましたの……きっと上谷君は伊集院さんの力になれる……最高に期待の出来る子だと」
「五箇先輩が……俺に?」
「はい。そして2つ目のお話ですが、優也様が本当に五箇の言った通りの人なのかを確かめるためにわたくしはこうして難題ばかりを与えてましたの」
小春は優也から離れると、これまでの非礼を詫びるように深々と頭を下げた。
「わたくしはこの通り用心深い性格です。都合のいい話だと思うかもしれません。ですがもし優也様が許してくださるというのなら……この伊集院小春にどうか力を貸してください」
それは今までとてつもなく大きな存在だった人が急に弱々しくなった瞬間だったが、そんな事は優也にとって気になるものではない。
むしろ他の人と変わらない一面が見れたことに親近感さえ覚えてしまう。
それにこれだけの話を打ち明けてくれたにも関わらずここで首を横に振る人がいるならそれこそ悪魔か何かだろう。
そう優也は思いながら、小春に力を貸すことを言おうとしたが……それを優希が遮る。
「待て……お前にはもう1つ話さなくてはならない事があるだろう」
まだ棘の含まれた視線だったが、小春はそれが当たり前の反応だと受け入れる。
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