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「たしかにお前の考えは真っ直ぐで私も嫌いじゃない。だが……そんな人間なら何故常に周りには悪い噂が絶えなかったんだ?」
会長の言う悪い噂は十中八九あの退学者たちの噂だとは思うが、恐らく俺の考えが正しければ伊集院さんが退学させた生徒は……。
「ふふっ。優也様はどうやらお気付きのようで助かりますの。天音が疑うのも無理はないと思いますが、わたくしが今までに退学させた生徒は全てお祖父様の息吹きが掛かった生徒たちですの」
優也の予想はどうやら的中したようで、これまでの話を聞いてなんとなく想像はついていた。
十蔵さんの最終的な目的がこの学園の生徒たちと言うのなら、もうすでにスパイのような形でこの学園に潜り込んでいる生徒が何人もいるはず。
恐らくその生徒たちを伊集院さんが退学まで追い込んだのだろう。
「お祖父様の命を受けた生徒をあからさまに退学にしてはわたくしに疑いがきますが、命令を失敗させ責任を取らせるという理由で退学させれば問題はありませんの」
それはこれまで冷徹な人形を演じていた小春だからこそ出来る芸当で、十蔵が使えない人間には興味がないのを知っているのを見事逆手にとった行動でもあった。
「しかしながら皆さんもご存知の通り、今日狙われた久遠姉妹は恐らくお祖父様の次のターゲットになっていましたの」
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