決戦!未来の学園に必要なもの。

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五箇に優也の名前を聞いた時はただの高校生だと小春は思っていたが、それは会話を重ね試練を与えていくうちに大きな間違いだと思い知らされた。 優也には想像も出来ない程の可能性というものを秘め、関わっていくうちにそれは自然と自分の心に浸透している。 そして気付けば優也の周りには人が集まり、またしばらくして気付けば……今度は自分もその輪に加わっている。 「皆様が優也様に想いを寄せている気持ちがなんとなくわたくしにも分かりますの。こんなにも温かい場所があれば……それが心地いいのは当たり前なんですよね」 こんなにも温かい場所に今まで無縁だった小春には眩しすぎるかもしれないが、不思議とその不安すらも目の前の少年は取り払ってくれる気がした。 そんな小春を尻目に優也にはある疑問が生まれており、それを率直に訊ねる。 「それで伊集院さん?十蔵さんの所に行くのはいいんですけど、俺たちじゃビルに入る事すら不可能なんじゃないですか?」 それが敵の本拠地となれば尚更で、いくら俺が伊集院さんの婚約者という肩書きを持っていたとしても、伊集院さん以上に用心深い十蔵さんがそんな簡単に俺たちを招き入れてくれるはずがない。 そう優也や他のメンバーも顔揃えて同じ事を思っていたが……小春はここで最後にして最大の試練を爆弾の如く優也に落とした。 「ふふっ。それなら心配いりませんの。これまでわたくしがお祖父様に行った不利益な行動は全て……優也様のご活躍として報告してありますから」 「えっと……それはつまり?」 「現在のお祖父様は優也様に絶賛激怒中という事ですの!ですから数日以内にお祖父様からお呼び出しがかかるはずですの」 小春の楽しげな発言は優也の頭の中で何回もエコーし、数秒の間が空いた後に優也は誠実の搭の外に聴こえるほどの叫び声をあげるのだった。
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