決戦!未来の学園に必要なもの。

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「えっ?あ、あぁ……だけどそれなら千佳も一緒に……って。お、おーい!」 優也は智恵を呼び止めようとしたが、脱兎のスピードで智恵は詩帆の手を掴んで走り去ってしまう。 その去り際に詩帆さんが親指を立ててグッドサインをしたのが気になるけど……とりあえず残ったのは。 「なんだか皆さん連携のとれた帰り方でしたね。まったく、それなら私にも教えてくれたって……」 ゴニョゴニョと小さく呟く香奈だったが、最後までそれは聞き取る事が出来なかった。 しかし急に意を決したような表情になると、優也に向き直ってこう訊ねた。 「残ったのは私と千佳さんと伊集院さん……それに優也ですが、どうやって帰りますか?」 その問いに優也の心臓は少しだけ跳ね、無意識に3人を見てしまう。 「わたくしは人数に数えなくても大丈夫ですの。今日は近くの別荘に泊まる予定ですから1人で帰れますの」 小春も薄々とはあの空気に気付いており、早々にその枠から外れる。 「では私と千佳さんの2人ですが……優也はどっちと帰りますか?」 別に俺は悪い事をして訊問をされている訳でもないのに、何故かそんな感覚に陥ってしまうのは気のせいではないだろう。 「えーっと……香奈はたしか寮に住んでるんだったよな?だったら学園内なら危険はないんじゃないか?」 優也の答えは香奈の期待していたものとは少し違ったが、ここで自分を選んでいたならそれこそ本当に変な期待をしてしまうところでもあった。 「模範解答のような返事ですが……まぁ許します。千佳さんは頼みましたよ、優也」
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