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香奈のあっさり引き下がる態度に優也は逆に驚いてしまったが、本当にその一言だけ残して香奈は寮の方へと歩いて行き、伊集院さんも1人で皆を追うように正門に歩いて行った。
そして気付けば俺と千佳の2人が残り、俺も雰囲気的にはこうなってしまうんじゃないかと思っていたりもした。
何故なら……千佳はここ数日かなり元気がなく、今までこんなにおとなしくしている千佳は見たことがない。
みんながこんな状況をわざと作ったんだとしたら、俺が考えられる状況は2つ。
1つは千佳がこうして元気がないのは俺が関わっている可能性があり、更に他のみんなはそれが分かっていたからお前が何とかしろ的な状況。
もう1つは何か千佳の元気がないからお前なら何とか出来るだろ、的な投げ槍な状況。
これが会長と智恵が主犯だとするならば後者が圧倒的にありえるけど……ちょうど俺も千佳に話したかった事があるからそこは前者だと信じよう。
優也は少しだけ呼吸を整えると、千佳に何気ない会話を持ちかける。
「それじゃあ帰りますか。これ以上遅くなったら千佳の両親も心配するだろうからな」
「うん。でも私も近いから1人で帰れるよ?優也君の方こそ一番遠いんだから早く帰らないと」
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