決戦!未来の学園に必要なもの。

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しかし俺たちの考えとは裏腹に千佳の態度は素っ気ないもので、こうもあからさまに元気がないと尚更心配してしまう。 「でも今の千佳じゃ悪いけど1人で帰らせられないからな……やっぱり家まで送るよ」 それは千佳本人も分かっているつもりだったが、こうして優也と2人きりになった途端どうしても色々な事を意識してしまう。 ようやく自分の気持ちに気付いた千佳だったが、ここ数日優也の事を考えるだけで胸が凄く痛んだ。 優也はいつでもみんなのために頑張って行動し、最後には必ずみんなに笑顔をもたらしている。 けれども……。 千佳はいつかそれが崩れてしまうんじゃないかとずっと不安だった。 「優也君は……どうしてそんなに他人のために頑張れるの?そんなに自分が危ない目に遭ってまで」 急に脈絡のない事を言われ呆ける優也だったが、千佳の目は暗がりでも分かるくらいに真剣であった。 「それは俺がみんなと友達だからに決まってるじゃないか。友達が友達を助ける……」 「そんなの嘘だよ。優也君はいっつもそうやって大切なところではぐらかそうとして……なんだか私には無理してるように見えるよ」 千佳にそう言われたのは優也にとってショックの大きいものだったが、きっと本当の事を言えば今のみんなの関係が崩れてしまうのは明白でもあった。 たしかに俺は他人の目から見れば無理をしているように映るかもしれない……だけど、そうしないと俺はきっと後悔するから。 何故なら……ここへ入学する時に沙恵さんからの条件で学園の生徒の悩みを解決してほしいと言われ、入学当初はそんなのは無理だと俺も思っていた。 中学では部活動を頑張ったけれども、それ以外はこれと言って特徴のない日々だった。
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