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「稚咲!そんな言い方はないでしょう?」
「だ、だって!お母さん……この家にお兄ちゃんがいるなんて私は聞いてない!」
それを言われた真智子さんは少し表情が険しくなり、稚咲も言った途端に震えだした。
どうやら稚咲と真智子さんは前の家庭で何かあったみたいだな。
さすがにいきなり何があったとは訊けないので、俺は余計な口出しはしなかったが、父さんは何故か俺の方を見て笑った。
「まぁまぁ……親子で喧嘩しても仕方がない。それより優也……お前、明日の学園は休みだな?」
たしかに明日は休日だから休みだけど……。
「そうだけど何かあるの?」
「だったらちょうどいい!明日はお前と稚咲でここに行ってこい」
そう言われて父さんに渡されたのは近くにある遊園地の招待券で、不思議なことに2枚しかその手には握られていない。
まさかこの歳の兄妹が2人だけで遊園地なんて行くわけ……。
「稚咲の面倒はお前に任せるぞ、俺の自慢の息子よ!」
どうやら父さんは本気らしく、雪が降る今日……俺は奇跡のような出会いで新しい母さんと、新しい妹が出来てしまった。
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