7683人が本棚に入れています
本棚に追加
/611ページ
こんな普通の日々を送ってきた俺に今まで苦悩や苦労と言った事からかけ離れた生徒たちの、何を解決すればいいんだと……。
だけどそんな不安を抱きながらあの大きな正門を通った時初めて出会ったのが……目の前にいる千佳であった。
俺はきっとあの出会いをこれから先の人生で忘れはしないだろう。
あの春の桜が舞う中で周りにはたくさんの生徒に囲まれながら歩き、手を振るだけで皆が笑顔になる……そんなアイドルのような千佳との出会いを。
そしてそんな自然とみんなに笑顔を与えられる千佳に憧れて今の俺がいるということも。
多分だけれどあの日……千佳に声を掛けてもらったあの瞬間から俺の人生は変わった。
もしも自分が変われるとするならばこの場所しかない、俺は本気でそう思った。
だからこそ俺は千佳に憧れ、その周りにいる人たちの力にもなりたいと考えて今まで無茶な事ばかり行ってしまった。
そんな憧れの人に無理をしていると言われたら本末転倒なのかもしれないが、俺はこれまでやって来た事は何1つ後悔なんかしていない。
何故なら……。
俺は詩帆さんに告白された時にどうしても千佳の笑顔が頭から離れてくれず、結局はその告白も断ってしまった。
だから俺は……そんな千佳が好きなんだと思う。
いつも笑顔でみんなを元気にさせてくれる千佳が、こうやって俺の無茶をしていることを分かったうえで心配してくれる千佳が……本気で愛しく思えてしまう。
最初のコメントを投稿しよう!