7683人が本棚に入れています
本棚に追加
/611ページ
前々から生徒会長という立場に興味はあった千佳であったが、その仕事を間近で見てきた副会長だからこそ悩みは大きく膨らんでいた。
人の上に立つという事がいかに大変なのか、そして上にいる者は必ず仕事をしているうちに人を切る判断をしなければならない時がくる。
千佳はそれが恐くて堪らなかった。
もしもどちらの意見も間違っていないのに、片方しか選ぶことが出来ないという状況に直面した時……果たして自分は優希のような采配を下せるか、という不安が千佳にとって最大の悩みの種であった。
そんな千佳の表情で優也は何となく話しづらい内容だと言うのは予想がついたが……。
会長たちにも相談出来ない悩みを俺に話してくれるだろうか。
そんな疑問が頭を過るが、そもそも千佳の性格からして他人に迷惑を掛けたくないという葛藤もあるのかもしれない。
だとしたら千佳は前俺に言った事をもう忘れてしまったのだろうか。
優也は千佳に叱られた時の事を思い出しながら、今度は自分が千佳の心を少しでも開いてあげたいと考えた。
「たしか前に千佳は俺に悩み事があったら仲間に相談しろって怒ってくれたよな?だったら千佳も悩み事があるなら俺に相談してもいいんじゃないか?」
もちろん千佳はその時の事は鮮明に覚えているが、今回は事情が違うと言い訳しようとしたが……。
「それとも俺と千佳は大切な関係じゃないのか?」
「あっ。ち、ちが……う」
最初のコメントを投稿しよう!