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千佳の好きな人のヒントが俺の頬にキスって何の繋がりがあるんだ……。
優也はしばらく千佳にキスをされたという余韻と、結局自分の家に着くまで分からなかったヒントにモヤモヤしながら玄関のドアを開けた。
するとちょうど部屋に戻ろうとしていた稚咲に出くわし、おもむろに稚咲の肩を掴んだ。
「なぁ稚咲……好きな人のヒントを教えるために他人にキスできるか?」
「つっ!?な、なんで急に帰ってきたと思ったら第一声がそんなに意味不明なのよ!とりあえず手を離して私に土下座すればいいんじゃないの!?」
そう言いながら猫のような動きで素早く優也の手を払った稚咲は、そのままゆっくりと後退りながら階段を上り始める。
「意味不明なのは俺も同じなんだよ!だからこうして妹であり、女の子でもあるお前の意見が聞きたいんだよ!」
「お願いだからそれ以上近付かないでくれる?もしも一歩でも私に近付いたらお母さんを呼んで説教のフルコースをさせるから」
冷たい稚咲の態度に優也はどうしたものかと本気で悩んだが、ハッと何かが閃いたかのように顔を上げる。
「もしかしたら母さんなら何かいい意見をくれるかもしれないな……よし。もう行っていいぞ、ちさ……」
「逝くのはお前だぁぁっ!」
「ぐはっ!ば、馬鹿かお前は!?どこの世界にマジの蹴りを兄のあばらに当てる妹がいるんだよ!?」
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