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「馬鹿はあんたよ!それも世界の理を逸脱したような底抜けの大馬鹿!あんたこそ自分の妹と母親に何訊こうとしてんのよ!」
まだズキズキと痛む骨の辺りを擦りながら優也は立ち上がると、ようやく自分が暴走しかけていた事に気づく。
冷静になれば今のは俺の方が完全に意味不明であったのは認めよう……だけど問答無用で蹴りをする稚咲こそ説教されるべきじゃないだろうか。
そんな事を考えていると、勘の鋭い稚咲は視線だけで優也の心を見透かしたかのように返答する。
「言っておくけどこんな事はあんたにしかやらないから大丈夫よ。外ではきちんと淑女モードになるから心配しないで」
「なんだよ淑女モードって……お前の性格はどっかのスイッチで切り替わるのか!えぇ?というか勝手に人の心を読むなよ!」
「いちいちうるさいわね……なんならこれからずっとあんたの心を読み続けてそれを逐一他の人に報告してもいいのよ?」
「そ、それだけは勘弁してください」
兄の威厳はもう既に風で飛ばされているのか、結局優也は言い合いに負け、おとなしく稚咲に謝りながら自分の部屋へと入った。
なんかもうあれだな……人の心を読めるとかハイスペック過ぎて笑えない領域だろ。
優也はまだ認められない稚咲の能力にぶつぶつと呟いていたが、ベッドに横たわった瞬間に先ほどの光景がフラッシュバックする。
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