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そんな期待に頼るしかない優也は、誘われる眠気に対し特に抵抗もしないまま瞼を閉じるのであった。
そして翌朝。
学園に行く準備を整えた優也はいつも通りの時間に欠伸を我慢しながら電車に乗り込み、これと言って変わらない日がまた始まる……そう思っていた。
だが……優也を待ち受けていたのは変わらない日常等ではなく、最後の大きな壁がもう目の前まで迫っているという警告であった。
それを知ったのは優也が教室に入った時で、いつもより騒がしいクラスメイトたちの姿に気付く。
最初はまた会長か誰かが騒ぎの発端だろうと優也もあまり気にせず席に座ったのだが、目の前から大地が勢いよく走ってきて優也の肩をガッと掴んだ。
「お、おい優也聞いたか!?」
血相を変えた大地の表情にきょとんとする優也であったが、次の瞬間に発せられた言葉で優也も大地と同じ表情をすることとなる。
「学園長が来年の新学期から変わるらしいぞ!しかもその人が伊集院十蔵っていうかなりヤバい噂が絶えない人らしいんだけど……って優也!?」
大地の話が終わる前に優也は教室から飛び出し、全速力である場所へと向かった。
くそっ……伊集院さんが教えてくれて分かっていたはずなのに、心のどこかでまだ大丈夫だと考えていたけど……甘かったか。
まさか翌日の朝に仕掛けてくるとは夢にも思ってなかった優也は、焦りながらも目的の場所にたどり着いたが……。
「やっぱり入るのは無理そうか……」
優也の前にある学園長室には既に人だかりが出来ており、数人の教師が生徒たちが部屋に入らないようにバリケードを張っている。
学園を乗っ取る策が十蔵さんが一気に学園長の座を奪うって事なんだとすると、沙恵さんは何かされたんだろうか。
そんな不安が頭いっぱいに広がったが、不意に優也が立っていた横の扉が開き、そこから伸びた手にぐいっと引っ張られるようにして部屋へと引き入れられた。
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