決戦!未来の学園に必要なもの。

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「くっ……どこまで卑劣な事を」 母の危機に香奈の怒りがひしひしと伝わってくるが、これはもしかするともう俺たちだけの問題じゃなくなっているかもな。 伊集院十蔵さんがどこまで裏の世界に顔が利く人なのかは知らないが、今のPTAの会長を動かせるほどの力を持っているんだとしたら、これほど厄介な相手はいない。 自分の手はあくまでも汚さず、会長の推薦という形で藤堂学園のトップに成り上がろうとしている。 しかもこの署名に書かれている人たち全てに十蔵さんの息が掛かっているとすると……もう大人たちは敵としてしか見ることが出来ない。 今まで沙恵さんのサポートをしてきた仲間に裏切られ、きっと精神的にもきているだろうけど、まだ沙恵さんが学園長の席を譲るのは早すぎる。 それに万が一変わったとしても……その席に座っているのは伊集院十蔵という人物では決してない。 「沙恵さん……慰めになるかも分からないですけど、まだ諦めちゃ駄目ですよ。この藤堂学園は沙恵さんが学園長をしていてこそなんですから」 「そうです……それにこの学園は昔から先代の学園長が次の学園長を推薦するのが馴染みですからね。まぁ、お母さんがその男を推薦するなら別ですが……」 ようやく香奈はここでいつも通り意地の悪い笑顔を沙恵さんに向けると、沙恵さんも負けじと同じ笑顔を浮かべた。 「あり得ないわね。もし私が次の学園長に選ぶとするなら……そうねぇ、優也君辺りに頼んじゃおうかしら」
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