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「お、俺ですか!?というか冗談でも娘の前で学園長の席を譲るとか言わないでくださいよ!」
「あら……私は意外と本気なんだけど?なんかいいじゃない。いつもはちょっと無気力だけど、生徒の為となると全力で頑張る優也学園長」
「確かに名案ですね。この際ですから伊集院十蔵の対抗馬として優也を学園長に推薦してみますか」
どこまで本気なのか分からない母と娘の言葉責めに少し参ってくるが、この調子ならば沙恵さんがすぐに諦める事はないだろう。
だけど……決着を着けるなら本当に一週間以内で終わらせないとな。
時間が延びるに連れて沙恵さんの足場も崩されていくだろうから、その前に俺たちから十蔵さんに仕掛けないと。
「それじゃあ俺たちは一旦戻って他のみんなにも話してきます。なので俺たちが何とかするまで勝手に辞めないでください」
まさか1人の男の子にここまで安心してしまうとは思っていなかっただけに、沙恵もそれに応えるように力強く頷いた。
「私もこんな署名だけで辞める気なんて更々ないわよ。とりあえずやれることは全部やってみるからこっちは心配しないで」
そう言った場所には、もう普段は緩い女性は居らず長として皆を引っ張るだけの力量を持つ強い女性が立っていた。
「はい。それじゃあ俺たちもこれで失礼します」
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