決戦!未来の学園に必要なもの。

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「……っ!?」 驚きで声が一瞬出掛かってしまったが優也はそれを最後に自分の席へと戻ってしまい、景加はぎゅっと拳を握りしめた。 「だったら……私は誰にその荷物を手伝わせたらいいのよ」 泣きそうになってしまうのを堪えながら景加は俯き、そんな言葉を小さく漏らすのだった。 そして放課後……。 教室から出るときに優也は横目で景加の方を見るが、席に座ったままその場を動く気配がない事を確認する。 まだ葛藤しているんだろうか……。 昼休みに俺が言ったことはもしかすると鵜島さんの心に大きな傷を与えてしまったのかもしれない。 何も知らないくせにと言われなかっただけでも幸運だが、それでもどうにか鵜島さん本人の口から訊きたい言葉があった。 今はまだ悩んでいるようだけど、きっと鵜島さんなら……。 そう思いながら優也は教室を後にし、最後の打ち合わせが始まる誠実の塔へと足を向けた。 しかし着いたのはいいが、予想外の展開に俺は早速その場から逃げ出したくなる。 その理由が目の前でちょっと恥ずかしそうに苦笑いしている千佳の存在で、俺が入ると何故かまだ千佳1人しか席に座っていなかった。 ここで変に動揺しても格好がつかないので、俺はいつも通り平静を保ったまま千佳に声を掛ける。 「お、おぉ!千佳じゃないか!き、奇遇だな?」 「あ、あははっ。ほ、本当だねー。すっごい奇遇になんかおかしくなっちゃいそうだよ」
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