決戦!未来の学園に必要なもの。

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それから間もなく皆は解散したのだが、1人の影が夕日が沈むのを生徒会室で眺めていた。 「さて……そろそろ出てきてお話をしません?」 その影とは伊集院小春であったが、他には誰もいないはずの生徒会室の扉に向かってそう訊ねた。 しかしその数秒後に扉がガチャリと音を立てながら開き、その扉の前には景加が視線を横に向けながら立っていた。 「最初から気付いてたんですか?」 「えぇ。塔の外でこちらの様子を見ているのが視界に入りましたので……それより、どうしてこちらに来なかったのです?」 恐らくこの話し合いの事は優也から聞いたのだとは思うが、もしそれが事実なら少し説教をしなければならないかもしれない。 「行けるわけないじゃないですか。だって私はみんなを……上谷を裏切っちゃいましたから」 自嘲気味にそう笑顔を浮かべると、小春はいつになく真剣な表情で景加に再び質問をする。 「では……その裏切り者はこの話し合いの事もお祖父様に伝えるのでしょうか?」 小春が恐れていた事はこれで、景加はまだ敵の駒として動いている身である。 そんな人物に軽々と情報を漏洩し、その小さな情報が命取りになるという事をまだ知らない優也には、後できつく言い聞かせようと小春は誓った。 しかし景加は首をゆっくりと横に振る。 「本当は十蔵様……ううん。あいつに連絡しないといけないんだけどね。でも……もうどうでも良くなっちゃったんです」
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