決戦!未来の学園に必要なもの。

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「それはどういう意味でしょうか?」 「もう嫌なんです。これ以上家族が辛い目に遭うのも友達が傷付くのも……あと、上谷と裏切り者として一緒にいるのも」 ようやく自嘲的な表情の意味が理解出来た小春であったが、こういう状況に陥った者の末路は小春が一番よく知っている。 「鵜島様……あなたが今何を考えているのかまでは分かりませんが、勝手な行動はこれから先の長い人生を無駄にしますの」 きっとこのまま放置すれば景加は1人で暴走してしまうと確信した小春は説得を試みるが、景加はポツリポツリと呟きだす。 「私、高等部に上がってから凄い馬鹿な奴と会ったんです。最初は他の人たちとはちょっと違うなって程度の気持ちだったんですけど、話していくうちにどんどんその気持ちが大きくなったんですよ」 小春はその人物が誰か容易に想像がついたが、あえてそれを口にはしない。 「それでそいつはいつの間にか私や妹の隣で笑ってて、そんな馬鹿みたいなお人好しを家族の為に裏切って……そんな私に帰る場所があるんですか?」 景加の溜めていた不安が一気にここで溢れたが、不思議と涙は流れず、小春にそう訊いてしまう。 「帰る場所……確かに人は誰でもそんな場所を1つは持っています。ですがその大半は自分が衣食住をするための場所ですの」
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