決戦!未来の学園に必要なもの。

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しかしここで景加が訊いたのはそんな場所を指したのではないと、しっかり小春は理解している。 「鵜島様にとって帰る場所とはどんな場所でしたの?そこで笑っていたのは自分や家族だけでしたの?」 そんな質問に景加は激しく動揺し、今まで過ごしてきた学園の風景が頭の中いっぱいに広がる。 自分の帰るべき場所……いや、帰りたい場所にはたくさんの笑顔と温かさがあり、そこに居たのは……。 「みんな、ごめんなさいっ。本当は……前みたいに一緒に遊びたい、馬鹿な話で笑いたいっ」 やっと出た後悔の念に小春はつい景加の頭を抱きながらぎゅっと自分の体に押し付けた。 「泣いてしまうくらい帰りたい場所なら自分でなんとかするものですの。ですが……どうやらあなたに帰って来てほしい方々もいるようですが」 「……えっ?」 そう言った瞬間に後ろから誰かが景加に抱きつき、同じように泣きながら顔を制服に埋めた。 「景加の馬鹿……最後まで私や優くんを心配させて、本当に手間の掛かる娘」 「し、詩帆。それにみんなも……帰ったんじゃないの!?」 そこに立っていたのは先程解散したはずのメンバーであったが、景加はようやく自分が騙されていたんだと気付かされる。 「悪いな……伊集院さんが鵜島さんが来てるって言うからどうしても話がしたかったんだ」 けれども景加はもう逃げようとも避けようともせず、涙を拭いながら優也の方へと振り返った。 「上谷……本当にごめんなさい。今さら裏切ったのを許してなんて都合の良いことは言わない。だから……今度こそ私にも手伝わせて」
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