決戦!未来の学園に必要なもの。

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きっとそれは高等部時代に培った俺が知らない2人の関係なんだと思いながら、それを想像すると笑ってしまう自分がいた。 そして楽しい時間は早く過ぎていき、1人また1人と別々の道へ別れ、すっかり日が沈む頃には優也は1人で家に向かって歩いていた。 その帰り道で優也は今日あった事を思い返すと、よく自分はここにいれると感慨に浸ってしまう。 何の特技もなく、家だってごく普通の家庭で育ててもらっている俺が、あんなにも才能に恵まれた人たちに囲まれているなんて。 だけど……それだからこそ今いる居場所を絶対に壊されたくはないし、俺も守りたいと思えるんだ。 「本当は誰だって怖いんだよな……」 きっと俺1人だけだったらこんなにも頑張る事は出来なかった。 だから最後もやっぱりみんなの力を借りて学園の危機を救いたい。 それで全ての事が丸く収まって、みんなが笑える日常を取り戻したら……千佳に告白しよう。 その時の優也はもう迷っておらず、失敗した時の事は失敗してから考えればいいと腹を括っていた。 そして……。 明後日の早朝になった優也は、今まで生きてきた人生の中で一番の緊張を抱きながら外の景色に視線を移した。 春が近い事を知らせるような暖かな日差しが射し込み、雲1つない空は本当に綺麗であった。 「よし……いくか」
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