最終章。春の入学式は桜の下で

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まさかここまで徹底して守られていると予想していなかった優也は、早くも1階で窮地に立たされる。 「来たぞ!」 そして案の定階段に到達する前に発見され、どうやら俺がその階段を使いたいのも分かっているらしい。 せめてこちらに向かって来てくれれば相手を通り抜けるチャンスもあるのだが、階段を守る男たちはその場から動く様子がない。 このままでは前に行っても敵に捕まり、かと言って別の場所に逃げても体力が尽きて他の連中に捕まってしまうのがオチである。 こうなれば正面玄関から外に出て態勢を立て直すべきかと本気で考えた優也であったが、ここでようやく聞き覚えのある声が耳に届く。 「優也さん!そのまま走って!」 その声がする方を向くと、地下駐車場から侵入する予定の舞がこちらに手を振っており、隣には何やら物騒な物を肩に担いだ智恵の姿もある。 「おいおい……智恵!まさかそれを撃つ気じゃないだろうな!?」 その肩に担いでいる物とはどっからどう見てみもバズーカにしか見えず、その艶やかに光る黒い物体の先には男たちがロックオンされている。 「大丈夫。優也には被害が及ばないから……たぶん」 「たぶん!?ふざけんな!そんな可能性のやつを使うんじゃ……」 「智恵。今よ、発射!」 「あいあいさー。新商品スタンバズーカお披露目」
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