最終章。春の入学式は桜の下で

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そこでようやく自分が助かったんだと安心すると、急に全力で走っていた分の疲れが押し寄せてくる。 「はぁはぁ……さっきので絶対に寿命が縮んだぞ」 その理由はとにかく言葉では言い表せないくらいのものであったが、こうして自分がここで休めているのもこの2人のおかげであるのは違いない。 「優希が言うにはこの防火シャッターはそう簡単には破れないらしいから、しばらくは下から追ってくる奴はいないわね」 その報告にホッと胸を撫で下ろすが、これでもう俺たちは上に進むしか選択肢はなくなったわけだ。 しかもまだ1階しか上がってないというのにここまで苦戦し、はっきり言ってもう体力の限界です。 これでは最上階まで行くのにどれだけの時間とあのスタンバズーカとやらを撃たなければならないのかと思うと、心が折れそうになる。 そんな不安を抱いていた優也であったが、チラリと智恵の方に視線を向けると、何故か手ぶらで棒立ちしている智恵がこちらを見つめていた。 「あれ……さっき使ったバズーカはどうした?」 「なんか重いから置いてきた」 それはこちらが無防備になった事を告げられた瞬間であったが、確かにそう言われればあの大きさの物は機動性に欠けるのかもしれない。
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