最終章。春の入学式は桜の下で

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「あっ……そういえば俺がボタンを押しても反応しませんでしたね。ランプも点灯してなかったんで多分止められてるんだと思います」 「やはりそうか……」 優希の悔しそうな声でエレベーターを使えるかもしれないという期待は捨てようとした優也であったが、次の言葉にそれはまだ早かったと気付く。 「しかし2階にいるという事は他のエレベーターを使えばいいだけの話だ。優也……悪いが今から舞に送る地図見てくれ」 そう会長に言われてから数秒後に舞の携帯にメールが入ったようで、ディスプレイに浮かぶ地図を確認する。 「その地図は3階のものだが、その階の端を見てくれるか?」 優也たちは携帯を囲みながら優希に教えられた地図の端を見ると、いくつかあるエレベーター表記の隣に1ヶ所だけ同じような表記が赤く写っている場所が端で確認できる。 「その普通の表記で写っているエレベーターはこのビルが管理しているものだが、1ヶ所だけ赤いエレベーターがあるだろう?そこは非常用のエレベーターで管理する場所は別にある」 「じゃあこれは……」 「あぁ。そのエレベーターだけはまだ動いているはずだから、3階に上がったらすぐにその場所を目指せ」
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