最終章。春の入学式は桜の下で

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「確かにあれなら見つからずに動き回れそうだな」 舞の冷静な発見に素直に優也は驚いたが、部屋の外から音が聞こえ、それを声にする暇もなく通気口の中へと入り込んだ。 しかし優也を先頭にして入ったのはいいが、初めて入る通気口の道など知るはずもなく、早速1つ目の分かれ道で詰まってしまう。 「どうすればいいんだよ……ここで適当に進むわけにもいかないし」 何かいい案がないかと後ろからついてくる2人に訊こうと優也は振り返ったが……。 「やっぱりあの学食のメニューは無くすべきよね……ヘルシーとか書いてあるくせに平気で脂の多いお肉を出してくるし」 「私的には日替り定食があんまり変わってないのが残念。もう少しレパートリーを……」 「何の話だよ!?それって今ここで議論しなくちゃいけない話なのか!?」 まったく関係ない事を話す2人を見て思わず声を上げてしまい、優也はハッと咄嗟に口を閉じる。 その瞬間に左のほうから男たちの声が聞こえ、まだこちらには気付いていないようだが距離はかなり近い。 「ふふっ。期待を裏切らない反応をありがとう。おかげで進む方向がわかったんじゃない?」
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