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この情報は会長が仕入れてくれた情報……それはつまりこちらが普通なら知らない事なのだから。
向こうも俺たちがこんな情報を知るはずがないという余裕があったら?
そう考えながら優也は慎重にエレベーターへと近付き、再び周りを確認するがこちらに誰かが来る様子はない。
「やっぱり向こうは俺たちがこの階で隠れてるのか、もう上の階に行ったと考えているかの2通りしかないみたいだな」
しかしそれでも油断は禁物だと警戒しながら優也はボタンを押し、数十階上から降りてくるエレベーターを今か今かと待った。
だが……。
そこでしばらく黙っていた智恵が珍しく額に汗を浮かべながらエレベーターを指差し、その数秒後に優也たちの考えは脆くも崩れ去る。
「私が敵だったらここに隠れる……」
「「……なっ!?」」
智恵が指差すのはもちろんエレベーターだが、そこは扉で塞がれてまだ行き止まりという名の道だが……あの鉄の箱がここに到着すればその道は変わる。
それに気付いた瞬間優也の背中が一気に冷や汗でびっしょりになったが、ここで自分にできることはただ1つ。
「2人とも逃げろ!!」
そう叫んだ優也であったが一歩遅く、到着したエレベーターの扉が開いた途端に中から1人のスーツ姿の男が現れ、その男は目の前にいた優也の首もとをガッと掴んだ。
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