くろやぎさんとしろやぎくん

あるところに、真っ黒な女の子がいました。
闇色の髪。
漆黒のワンピース。
彼女が持つ色彩で唯一黒でない、黄金色の瞳がよく映えます。

女の子は自分が真っ黒であることが嫌で嫌で仕方がありませんでした。
しかしお母さんにいくらそう言っても、困った顔をするばかりで、白い服を買ってくれはしませんでした。

一度、女の子はこっそり、お母さんの着ている真っ白な服を着たことがありました。

女の子はどきどきしながら、家で一番大きな鏡で自分の姿を確認しました。
しかし、それは彼女の期待を大きく裏切りました。

着る前は確かに純白だったはずの服は、真っ黒になっていたのです。

女の子はやがて、一人の少女として成長しました。
大きくなっても、彼女は白を身に着けることが出来ませんでした。

そしてある日、女の子の下に不思議な手紙が届いたのです。