舞い散る剣

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森深くに 佇む寂れた教会は 過去の秘め事を 優しく包み込むようだ。 室内は 隙間から光が差し込み 引き裂かれた絵は 何かを主張するように浮かび上がっている。 そして…その前に 円を描く様に六人が 座り込んでいた。 誰もが 床を見つめたまま 押し黙っている。 チチチっと 鳥が 時折 囀(さえず)り 羽ばたいて行く音が 響き渡ると 再び沈黙だけが 流れていく。 それぞれの思いが 言葉にならず 静寂な世界として 膨れていくようで もどかしい空気が 溢れて出している。 誰も 口を開く事が 出来ない。 何を話せば 良いのか 分からない。 そんな重い空気を 最初に破ったのは レナだった。 『…そ、そんな大変な事実があったなんて 僕は…知らなかった…。銀の薔薇は タブーだったから…。だけど クロスが ローゼンとして 目覚めたなら これから どうすれば良いか…話し合わなきゃいけないと思うんだけど…。皆は、どう考えてるのかな?』 レナは 他の五人を見渡した。 全員の視線が レナに向き 各々が、答えを出そうとしている。 『…僕は 今までと変わらない。ローゼンを必ず 見付けて 茨の世界に連れて帰るだけだ。』 リアが 即答した。 その言葉に 蜥蜴の双子も同意したらしく コクリと、頷いた。 『俺も クロ…じゃなくて ローゼンを捜し出す事には、同意する。ただ 茨の世界に帰すかは 本人に決めさせれば良いと 思うが…。』 ルミアの言葉に リアは 少しムッとした視線を向けた。 『…ごめん…水を差すようで悪いけど 君達に ローゼンは 捜せないし 仮に 捜し出したとしても あのルシファーから 取り返すのは 不可能に近いと思う。』 ロザリーの発言に リアと蜥蜴の双子は 彼を キッ!と、睨み付けた。 『…じゃあ あんたは ローゼンが どうなっても 良いって言うんだな?』 リアが 殺気を込めるように ロザリーに問い掛ける。 『私は そんな事は 思ってないよ。ただ 今は 無理だと言いたいだけで…。ローゼンの事は 救いたいと思ってる。』 ロザリーが 答えると 今度は ルミアに問い掛けられた。
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