最終章

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聡明な光が 世界を照らし 存在するモノ達は その光を浴びて 成長していく― それぞれが 目的を持ち 抗いながらも 未来を切り開く― 眩しい光と 輝きを増す存在は 世界を美しく彩っていく― 『僕は ラジエル。君の事は 知っているよ。僕の書に 記されている事だけだけど…。』 ラジエルは 後ろを歩くローゼンに振り返った。 けれど ローゼンは ニコリともしないし 頷きもしない。 『あの…?少しくらい 会話に付き合ってくれても 良いんじゃないかな?』 ラジエルは どことなく漂うぎこちない空気を払拭しようと、思い切って 伝えてみるが ローゼンは ピクリとも反応しない。 ただ 一点を見つめたまま 歩いているだけだ。 『…つまんない…。歩きながらだと 本も読めないし…。』 ラジエルが ブツブツと文句を呟きながら 前に戻ると ローゼンが 後ろの衣を掴んできた。 突然、引っ張られた ラジエルは 慌てて 振り返る。 『な、何?』 と 尋ねると ローゼンは 無表情で 答えた。 『…守護者ナラ 会話モ 出来ルガ 今ハ、眠リニ就イテイル。我ハ 会話ガ 苦手ダ。ダガ…話ヲ 聞ク事ハ 出来ル。』 どうやら 彼は 自分を 不愉快な気持ちにさせた事を 詫びたいらしい。 守護者が 今までのローゼンなら 白銀の剣である彼は まだ 目覚めたばかりの子供のようなモノ。 突然 目覚めてしまって どう対応したら良いか 分からないのだろう。 『そうだね…。何か話すって言っても 君は まだ 目覚めたばかりだもんね。僕なら 平気だよ。怒ってないからね。』 ニコリと ラジエルが 微笑みかけると 『ソウカ…。』 と ローゼンは 僅かに俯いた。 照れたのか?安心したのか? どちらかは 分からないけれど 取り敢えず ここまでの ぎこちない空気は 取り払われた。
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