黒い茨

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茨の古城では 自室でリアが 着替えていた。 ジルドは リアが 脱ぎ捨てた服を 拾い集める。 不意に リアが ブラウスに袖を通しながら 動きを止めた。 その動きに ジルドが リアに視線を向けると リアは ボタンを掛けだした。 『ジルド…。』 ベストを着ながら リアが名を呟く。 ジルドは リアの背後に 立ち 軽く頭を下げて 返事をする。 『はい…何でしょう?』 『あの…双子を 送り込んだ?』 リアの唐突な言葉に ドキリとした。 しかし バレたのであれば 素直に白状するしかない。 『余計な真似とは 思ったのですが 念の為に…申し訳ありません。』 深々と 頭を下げると リアは 黒衣を纏い 支度を整え終えた。 『僕は…別に構わないけど。でも あの二人には 過酷な場所じゃない?』 そう言いながら リアが フードを すっぽりと被った。 『確かに 過酷かも知れませんね…。』 苦笑しながら答えると リアが ジルドの前に 立ち 顔を見上げた。 『…ジルドは 根っから 悪魔なんだね。』 リアの唇が 笑みを作った。 『そうですよ…。今更 何をおっしゃるのですか?』 ジルドが 尋ねると リアの白い手が スッと ジルドのネクタイに伸びてきた。 黒いタイを 指先でなぞられる。 『ジルドは 何故 僕と契約しなかった?あの双子とは しているのに…。』 突然 何を 言い出すのかと思えば…。 本当に 可愛らしい小悪魔だ…。 ジルドは 堪らずに フードの上から リアの頭を撫でた。 『…次に 城へ お戻りに なられた時に お話しましょう…。』 『相変わらず ズルイよね。』 小さな口を 尖らせている。 『ええ…私は そうゆう生き物ですからね。』 ジルドが 微笑むと リアは ネクタイから 手を離した。 『もう…行くね。あの子がね…。僕を探し始めてるから…。急がないとさ。』 黒衣の裾を翻して リアは ジルドに背を向けた。 何故 自分と契約しない…と 聞いておきながら 結局は あの子の事しか 考えていないのだ。 本当に困った王様だ…。 ジルドは 黙ったまま リアの後を着いていく。 城の門まで 彼を見送り 見えなくなるまで 見つめ続けた。 彼は何故…契約の事を口にしたのだろうか? そして 自分が契約したのは 双子じゃない。 キラだけだ…。 うっすらと 笑みを浮かべたジルドは 城へと戻って行った…
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