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「そもそも。依頼人の道下さんの話を聞いて、俺はいくつかの点で引っ掛かった。
第一に、窓ガラスが割られていたのに、玄関も開いてたって所だな。空き巣は昼間の犯行なのに、入った場所と出る場所が違うなんて危険が倍に増えるんじゃないかと思ったんだ
実際に割れた窓ガラスも見せて貰ったが、空き巣が割ったにしては大きく割れている。これじゃあ、派手な音がしたんじゃないかな?」
その言葉に悠太はますます俯く
「だから、ガラスを割った犯人と空き巣は別人なんじゃないかと思った訳だ」
「へぇ~。千葉所長、空き巣にもなれそうですね」
恵の感心する場所が違う
「お前…。まあ良いよ。で、空き巣に遭った日に窓ガラスを割るような遊びが出来る奴なんて、卒業して一足早く春休みになってるガキんちょくらいだと目星をつけたんだよ」
悠太は一度は止まった涙をまたぼろぼろとこぼし始めた
「お母さんが…。道路…ボールで遊んじゃいけないって…。だから、僕…石を投げて遊んでたんだ」
ボールより石の方が質は悪いが、子どもの考えだ。仕方ないと恵はつっこむのを止める
「そしたら、石が変な方向に行っちゃって、ガラスが割れる音が聞こえて……。僕、怖くて逃げちゃったんだ……」
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