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「なんつうかさ。こう。解決したら心がフワァと暖まるような。そんな愛のある仕事がしたい訳よ」
夢を語る千葉に恵は冷たいため息で対応する
「馬鹿言ってないで、仕事して下さいよ。こないだ勝手に仕事断ったの知ってるんですから」
浮気調査に嫌気がさして、数日前に依頼を断った話をぶり返す
「仕事選べる立場だと思ってたら大間違いですよ。私は今月、欲しい物があるんですから頑張ってください」
雇われている側とは思えない暴言を平気で吐く
いつもの探偵事務所の光景だ
「じゃあ、お前が浮気調査すれば良いじゃん!」
「私は経理担当です!」
「こんな小さな探偵事務所で、経理だけやろうなんて無理なんだよ!」
暇だと口喧嘩も始まる。つまり、今日も金沢は平和だと言う事だ
「まずは探偵が働いてからでしょうが!」
今日は電話も休憩を決め込んだように、一度もベルは鳴っていない
「次の依頼はどんなんでも絶対受けて貰いますからね!」
え~。嫌だ~。なんて、子供のような文句を言う千葉を置いて、次は自分が電話を取ろうと電話機の前に向かう
「千葉所長?電話線抜けてますけど、どういう事ですか?」
もとい、金沢の街はともかく、探偵事務所は今日も平和だ
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