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男は痛みに悶えていた。
深夜の路地裏、近くにあったごみ箱を巻き込んで男は地面に倒れ込んだ。
腹部に走る肉を引き裂かれた痛み。
傷口から溢れ出す鮮血は地面を深紅に染めた。
男は傷口を握るように抑え、出血を防ごうと試みる。
「ぎっ!…ぐぅう…うぅ…」
男が苦悶の声を漏らす。
そして憎々しそうに言葉を綴る。
「ぐ、畜生…あのガキ…ハァ…どこまで追って来やがんだ…ハァハァ…」
息も絶え絶えになりながらそう吐き捨てると、男はその場から逃げる様に這いずりはじめた。
するとその直後、男の後ろにあった扉が、バンと音を立てて激しく開いた。
驚いた男は仰向けになって扉の方を向き、その方に向かって45口径のピストルを片手で構えた。
それとほぼ同時に、扉の中からから黒い影が飛び出し、男に向かって猛スピードで駆け出した。
「ひ!ひぃいいい!?」
情けない悲鳴を上げ、恐怖に駆られた男は、その黒い影に向かってピストルを乱射した。
しかし、その黒い影は止まろうとはせず、一直線に男に向かっていく。
すると、男がやたらと撃った銃弾の一発が、黒い影を捉えた。
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